三村はじめさん「ちょっとクチュールBegin」ファッションショー@浅草amuse museum

それは雨に濡れる浅草寺から始まった


その日は、朝からしっとりとした雨が降る一日。「あぁ、雨が酷くなって来ちゃった。」地下鉄銀座線の浅草駅の階段を上り、空を見上げてA子はつぶやいた。今日は、三村はじめさんの「ちょっとクチュールBegin」のファッションショー。A子は、このファッションショーに出演させていただくために、引っ越ししたばかりの大分から、東京へと上京を決めたのであった。

はじめさんのドレスとの出会いは、およそ一年前。東京湾クルーズファッションショーにモデルとして出演の際に、着させて頂いたのが最初の出会いだった。その時は、赤に大輪の百合の花がちりばめられた、長襦袢をリメイクしたドレス。袖を通した瞬間から、身体にフィットする感覚。足取りも軽やかになる羽衣のような着心地。一歩踏み出す度に翻る華憐な裾さばき。一瞬で恋に落ちたドレスだった。

「今回はどんなドレスを着させていただけるんだろう?」A子の胸は、到着前から高鳴っていた。モデルをここまで心を躍らせるドレスとは、なんと素晴らしいことだろうか。逸る(はやる)胸を押さえながら、会場のamuse museumにと足は急いでいた。

雨に煙る浅草寺が、空気を一層かきたてる

A子にとっての浅草寺は、小学校の修学旅行以来。その時の浅草寺のイメージは、子供らしく雷おこしだけだった。今はそのころと違い、別の視点から眺められるようになり、「雨に煙る中にたたずむ浅草寺も美しい。」と、少し感傷的にもなった。さすがに観光客の人気スポットなだけに、その存在感は一目置かざるをえない。

初めてのamuse museumは、外国人観光客が喜びそうな、いかにも日本的をイメージするものであふれていて、中国出身らしき店員の片言の日本語が、中国からの観光客の多さを物語っていた。会場への階段には、浮世絵が飾られ、A子は、日本人なのに日本文化についてあまりに無知な自分を恥ずかしくも思った。

会場に到着すると、世界は黒色から光に満ちた空間へと一変した。「素敵なギャラリーね。ここでどう歩くのかしら?」A子は思った。そう思って見渡したその瞬間に、「良かった、真田さん!間に合った!」いつもの元気な様子で、はじめさんからの声がかかった。「あれ?1時集合ですよね?」「いや、変更になったのよ~。見てなかったのかしら?でも間に合って良かったわ。」の言葉の後に、段取りの説明が続く。

この日のA子の担当する衣装は2着。どちらも、着物からのリメイクで、上質なシルク。ふわっと軽い生地なのに、重厚感あふれる仕上がり。「前回の華やかなドレスと違い、今回はシックなモノトーン。でもこっちはこんなにかわいいし、こっちはあまりにゴージャス。早く着てみたい!」とA子は、はやる気持ちを押さえきれなかった。

ショーの前からショーは始まっている

舞台裏は、出演するモデルさんたちでにぎわっていた。持ち前の明るさで、A子は挨拶をし、まずは試着を。そして、衣装を確かめた後は、メイクに入った。特に留袖のドレスは、オオトリを飾る衣装。アクセサリーも大振りだ。これに負けない存在感を作らないといけない。普段はしないマスカラをたっぷりと睫毛にのせ、くっきりとオーバーライン気味にリップラインを引いた。
そして、黒のピンヒールに足を踏み入れ、ふくろはぎに走る心地よい緊張感に、しばし目をつぶった。「さぁ、始まる。」気持ちを引き締めた。

海外からの観光客の方やはじめさんの顧客さま、案内を見て来たという初めての方で、ショー開始前から会場は混雑を始め、ざわめきが聞こえるようになってきた。そのさざ波のような温度の上昇は、控室にも伝わり空気が少しずつ変わってきた。

美しい笑顔と、自信に満ちた足取りで

ショーの前に軽く記念撮影をした。どの顔も笑顔に満ち溢れている。女性は、いつの時代もいくつになっても、自分がキレイになることに幸せを感じるものだ。そして、その美への関心は、ある種貪欲ともいえる。その貪欲さが、女性たちをさらに引き立てる原動力となるのだが・・・

14時となり、ショーが始まった。モデルさんたちは順番に並び、自分の番をはらはらしながら待ちつつも、期待で心が躍っている様子が手に取るように感じられた。衣装はどれも趣向を凝らしたオリジナリティあふれる個性豊かなものばかり。一見着こなしが難しそうに見られがちだが、そこははじめさんマジック。どの衣装も、あつらえたようにそのモデルさんにぴったりだった。

ショーも最後に近づくにつれ、衣装もカジュアルからシックなものへと変わって行った。黒色のシックなパーティードレスが次々と登場し、オオトリのA子の番となった。
「最後なので、ゆっくりとお客さまの目の前まで行ってポーズをしてください。お客さまが、直接生地を触れるくらいで大丈夫です。時間をかけて、お客さまを魅了してください。」とステージマネージャーの方からのお言葉があり、その後ステージへ。

ヒールのかかとの音を心地よく意識しながら、一歩一歩前に進み、お客さまのお顔をゆっくりと見つめ、にっこりとほほ笑む。この時のほほ笑みが、一番大事だとA子はいつも思う。特に、大きなホールでのファッションショーとは違い、アットホームが良さのこういうファッションショーは、お客さまとモデルやデザイナーさんとの距離感が、成功を左右するような気もする。

留袖をリメイクしたドレスは、その良さを最大限に引き出されていて、気品の高さ、豪華さと、決して華美ではない艶やかさが表現され、見るものみんなの目を引き付ける素晴らしいものだった。174センチのA子が着ても、A子が負けてしまうくらいの存在感。見事だった。

ショーは大盛況。衣装を直接お買い求めになるお客さまで会場の気温は一気に上昇。あまりに売れ行きが良く、その後のショーの内容に大きな変更があるほど。

雨の中にも関わらず、たくさんの方にお越しいただき、はじめさんの人気の高さがうかがえる素晴らしいものだった。彼女のセンスの良さ、デザイン、技術力の高さはもちろんのこと、「お人柄」に魅力がなければ、お客さまはおろか、関係者やモデルさんたちもそろわない。そういうところを少しも鼻にかけるところもなく、誰彼同じように明るく接して下さるところに、それが表れているといつも思う。

衣装はどれも展示即売となるものばかり。どれも世界でたった一つ。お着物はなかなか同じものが存在しないので、その意味でも、時代を超え受け継がれた良さを21世紀に残し、さらにそれを身にまとうことの出来る、至福の一枚になること間違いない。A子も、着させてもらう度に、どれも欲しくなるほどだ。

実際にご自分の目で、手で、この良さを実感していただけるのは、23日まで。ぜひこの稀有は機会を見逃さないで欲しいと思う。

はじめさん、そして関係者の方、モデルさんたち、皆さまのますますのご活躍とご発展を祈念して、
末筆ながら、小説風ブログは締めたいと思う。

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