日本人がスパイスカレーを美味しく作れないワケ6

前回の記事はこちら 日本人がスパイスカレーを美味しく作れないワケ5

前回のその5では、スパイスがどういうものなのか?ということについて書きました。

今回は最後の、「生産地でどのように使われて来たのか、その食文化についての知識がない。 」について書きたいと思います。

スパイスの役割をふりかえる

その5でもちらっと書きましたが、スパイスが採れる地域にではその衣食住の文化において、スパイスは非常に重要な役割を果たしていました。特に食文化においては、下記のために欠かせないものとなっていました。

  • 料理に入れて腐敗や食中毒から人が健康を崩したり死んだりするのを防ぎ、人を守る役割。
  • 病気の治療に使う薬としての役割。
  • 料理に取り入れ身体の調子を整えるという役割

こちら以外にも防虫剤にしたり、芳香剤にしたりなどの衣と住の文化における使われ方も多種多様ありますが、今回は食文化のみとします。そして2⃣は、薬学的な話となりますので、今回は1⃣と3⃣について詳しく言及していきたいと思います。

東洋医学的考え方

日本人にとってより身近な漢方から考えてみましょう。漢方も元をたどればインドのアーユルヴェーダにたどり着くのでは?と思うくらい共通点がたくさんあります。ちなみに漢方は今から2000年前に完成した中医学がベースで、アーユルヴェーダはそれより昔4000年前とか言われているそうです。

それぞれの土地の気候や環境の中で育ったため多少の違いはあるものの、人間の身体は結局は同じつくりなので、基本的には病気や健康への考え方や対策としては非常に共通点も多く、やはりつながっているんだな、と両方を学んでみて感じます。

さて、分かりやすいところで漢方には未病と養生という考え方があります。未病とは病気と言うほどではないけれど、健康でもない状態のこと。一方養生とは、未病の初期段階も含み、日々の生活習慣である食習慣や運動習慣を見直し漢方の知恵を取り入れながら、日々を健康的に暮らすことです。

どちらも、その人の体の本来持っている免疫力と自然治癒力を高めることで、日々を健康的に暮らし、病気を未然に防ぐという考え方ですね。

1⃣と3⃣は、まさにこの養生と未病から健康へと導く手段として考えられませんでしょうか?

では、早速どう使われて来たか?を見ていきましょう。

1⃣食中毒から人を守る役割

食中毒を起こしたり食べ物を腐らせる細菌は、水分と養分がある10℃から45℃ぐらいの温度下で良く増えると言われています。そのため、食中毒を防ぐためには、1,食品に細菌をつけないこと。2,細菌を増やさないこと。3,細菌を殺すこと。の3つが大切です。

スパイスには、この中の2の「殺菌が増えるのを防ぐ役割」があります。

高温多湿の地域が多い場所ですから、この役割を果たしてくれる食材はとても重要です。

3⃣料理に取り入れて身体の調子を整える役割

皆さんは今年の夏元氣に過ごされましたか?食欲が落ちたり体調を崩したりしませんでしたか?

インドは寒いところもありますが、日本よりも赤道に近く熱帯気候の地域が多いです。日本の夏のように(もっと)蒸し暑い地域もあります。そんなところだから、食欲を増進させる、胃腸の調子を整え消化を良くするということがとても重要視され、日々の生活に取り入れられてきました。

熱帯の地域の料理には、多種多様なスパイスがブレンドされて使われています。もちろん、料理に香りや味、色、辛み、苦味、風味をつける効果もありますが、と同様に体の調子を整えてくれる役割も持っています。

たとえば、豆について考えてみましょうか。インドは豆大国です。宗教上の理由から菜食主義の方がとても多く、お肉の代わりのたんぱく源として豆が非常によく食べられています。日本では見たことないような豆がたくさんあります。

皆さんは、豆をたくさん食べたときにお腹が張ったりガスが出たりしませんか?

豆類は、身体にそういう作用を及ぼす食べ物なんです。長い歴史の中でそのことが分かっているからこそ、ガスがたまらないようにするスパイスを料理に加えることにより同時に摂取出来るスタイルが根付いています。これは、日々の健康を維持するためにとても重要なことだからこそ、生活の知恵として生活に溶け込み自然に取り込まれて行きました。

まさに食文化とはこういうものである、の代表例だと思います。

ちなみに、ガスを抑える効果と消化促進の効果が高いスパイスは、クミン、カルダモン、アジョワン、黒胡椒、フェンネルが有名です。

日本には日本のスパイスがある

日本にも昔から、紫蘇、しょうが、にんにく、茗荷、わさび、山椒、唐辛子、長胡椒、ウコンなどが、良く研究され受け継がれ和食に上手に取り入れられています。

青紫蘇も立派な香辛料です

お刺身に添える大根もそうですが、お醤油に溶かすわさびやショウガは、上記の熱帯地域でのスパイスの使い方と同じように使われ効果を期待されています。ウナギに山椒、カツオのたたきにニンニク、漬物をつける時に入れる唐辛子など、同じように日本の食文化に溶け込んでいるものですよね?

インドをはじめとするスパイス王国だけでなく、このように私たちにもスパイスの文化があり、その土地の気候、環境に合わせて採れる香辛料を食文化に自然と取り入れ養生してきたわけです。

スパイスは変わったものでも、おしゃれなものでも、意味不明のものではありません。

その地域に根差した食文化の一部なんです。

まとめ

1から6に渡ってお話を進めてきました。

日本人がスパイスカレーを美味しく作れないワケは、結局はこの3つにまとめられるのでは?というのが私の持論です。

  • もともと出汁文化であり、汁物を作るように考えてしまう上、それをベースに作りやすく開発されたルゥカレーが食文化に根付いている。
  • スパイスをルゥと同じものと考え使ってしまう。
  • 本場の地域で使われているスパイスについての知識がほとんどないため、どう使うのが良いのか分からない。

今はとても良い時代です。日本にいる外国人の方の数も昔に比べてとても多いですし、書籍もたくさん出版されています。そして、youtubeの動画でも作り方はたくさんアップされています。

せっかく手間暇かけてスパイスをそろえて作るんですから、無駄にしてしまってはもったいないですよね?それに、スパイスや素材の効果効能を最大限に引き出さないとそれももったいない。

ずっと作り続けてきた方々には、それが自然としみ込んでいます。ですので、最初はきちんとしたスパイスの使い方を教えてもらって(本で読んだり、動画を観たりして)作っていただきたいな、と思います。

私も上手に教えられるようになるよう、さらに努力したいと思います。

編集後記

いつものようにほんのノリで書き始めたんですが、書きながら書きたいことがどんどん増えていき、長くなってしまいました。

収拾がつかなくなりそうで、途中どうしよ?と思ったこともしばしばありましたが、なんとかまとまってよかった~と安心しています。

夏も終わり、スパイスカレーを作る気分でもなくなっていく方も多いかもしれませんが、秋には秋の野菜、冬には冬の野菜を使ったスパイス料理はちゃんとあります。私もまだまだ勉強中ですから、この辺りも教えていただきながらもっと勉強していくつもりです。

それも、マクロビオティック、アーユルヴェーダ、薬膳(中医学)の考えを取り込んだお料理を作れるようになれたらいいな。という理想があるから。その先には、ヒトが生きていくために欠かせない食べることを通して、健康に貢献したいという夢があるからです。

自分も学びつつ、その学んだことの中から

「日本の気候と食文化に合わせて、海外からと日本古来からのスパイス(香辛料)を上手に取り入れながら、美味しく食べて健康につながる食生活にしていける方法や知恵」

をシェアしていきたいな、と思っています。

ある団体でコラムを執筆させていただけることとなりました。こんなお話を分かりやすく、日々の食生活に取り入れやすくご紹介できるよう頑張りたいと思います。

この次の記事は、「私たちが知らないインドの人達の食生活のこと」や「じゃあ、どうすれば美味しくスパイスカレーを作れるのか?」「詳しいスパイスのお話」などしていきたいと思います。お楽しみに♪

Please Share
Share

9/28 別府 あなたの魅力アップカラー診断会@ゑり章さん

誕生日から紐解かれる「あなたの魅力(美力)を開花させアップさせてくれる色」。一生変わらないあなただけのラッキーカラーです。その色、今まで知らなかった自分の魅力や強み、本当の自分の個性が分かります。オンラインと、リアル対面は別府のきものカフェゑり章さんにて開催いたします。