インドの食文化のこと5 宗教による違い

前回の記事はこちら インドの食文化のこと4

前回のその4では、インドを東西南北に分けて大まかな食文化の違いについて書いてみました。続きのその5では、日本ではあまりなじみのない宗教による違いについて触れてみたいと思います。

ベジタリアン大国のインド

ベジタリアンとかヴィーガンとか、日本でもちょっと流行ってますよね?肉食べないのがおしゃれ~みたいな。

インドのそれは、私たちが軽くファッションとして考えているものとは全く違い、生き方、生きることそのものを指しています。

インドには、生き方において菜食しか認めないという考え方を持つ宗教がいくつかあります。もちろん、ベジタリアンにも色々ありますし、その定義も地方や宗派によりさまざまですので、とても細かくは書ききれません。ですので今回のこちらでは大まかなところのみ書いて行きます。

各宗教による違い

ヒンドゥー教

インド人の80%の方が信仰していると言われるヒンドゥー教。人口で言うと、およそ8億人の方が信仰していらっしゃいます。

ヒンドゥー教には神様がたくさんいらっしゃいます。それぞれどの神様を信仰するのかは、地方や家系、カースト(ジャーティ)によりさまざまです。

私も大好きなガネーシャ神、シヴァ神、ヴィシュヌ神、ラクシュミー神、カーリー神、ハヌマーン神etc この多神教の発想は日本の仏教にも反映され、日本名が付いている神様もたくさんいらっしゃいますね。

ヒンドゥー教徒の方は、絶対に牛は食べません。そんなレベルのことではなく、憲法で牛を大切にするように定められているくらいのことなんです。

そして、ベジタリアンの方がとても多いです。その数はおよそ2億人。インド人の5人に1人は菜食主義者と言えますから、すごいですよね~。

このような問題でアメリカにおいて、マクドナルドは訴訟を起こされ敗訴したこともあるそうで、インドでは当然ビーフ入りはありませんし、100%植物性のもののメニューがあるそうです。肉を食べるどころか、触れることもNGですからキッチンも分けられていることに、その重要さが垣間見られます。

インド旅行へ行った方やインドの飛行機に乗られた方は、CAさんの「Are you Veg? or Non Veg?」と食事のときに尋ねられたことがあるかと思います。

私たちは気分で「うーん、肉かな?」とか「軽くしたいから野菜にしよう」とか決めますが、彼らにとってはそんな軽いものもなく、もちろんファッションでもありません。生きることとイコールなのです。

ヒンドゥー教の方の菜食主義については、これだけでシリーズ化出来るほどの中身の濃さですから、また機会がありましたら書いてみたいと思います。

イスラム教

ヒンドゥー教徒の次に多いのはイスラム教徒の方です。ムスリム、ムスリマと呼ばれていますね。

インドにおいては、人口のおよそ14%。1.5億人ほどの方がイスラム教徒です。

分離独立運動があった時に、パキスタンとバングラディシュに分かれ多くのイスラム教徒の方がそちらへ移住されたので、昔よりは数は減っているんじゃないかな?と思います。


歴史のお好きな方はこちらのリンクをどうぞ。

NHK高校講座 世界史アジアの独立 インドパキスタンの関係 パキスタン バングラデシュ バングラディシュの独立

話がそれましたが、イスラム教も私たち日本人からしたら、食については厳格なイメージがありますね。

食べてはいけないものに、豚肉 アルコール ハラール以外のもの(ハラーム)があります。

日本にいらっしゃったイスラム教徒の方は、外食はほとんど出来ないって言いますね。豚骨ラーメンなんてとんでもない!!料理酒もダメ、ポン酢なんかにチラッと入っているアルコールもダメ。

コンソメみたいな細粒だしにもポークエキスとか豚の脂は使われてますし、そもそも添加物の乳化剤は豚由来だそうで、、、大変だなぁ、、と思います。

キリスト教

次に多いのがキリスト教徒の方。およそ2.3%で2500万人ほどと言われています。

キリスト教も宗派により違いはありますが、普通に食べられているもので「これはダメ」というのは特には無いようです。

もちろん牛も食べますので、インドでもキリスト教徒の多いエリアに行くと牛肉料理が食べられるそうです。

シク教

ターバンを巻いている男性が多いイメージですね。髪にはさみを当ててはいけないそうで、女性も膝まで届くようなロングヘア。

学生時代のお友達にシク教徒の方がいらっしゃいました。髪洗うの大変だろうなぁ、というのがその時の感想(笑)

でも一生切らないのかしら?そんなの可能なのかなぁ?(素朴な疑問)

さて数で言うと、イスラム教徒の方の次に多いのがシク教徒の方。およそ1.8%で2000万人ほどでしょうか?

イスラム教と逆で儀式的に屠殺されたお肉を食べてはいけないそうで、イスラム教のハラール、ユダヤ教のコーシャはNGだそうです。

仏教

仏教も宗派によりさまざまですよね。日本だと精進料理のイメージもありますが、ブッダは托鉢でいただいた料理は(腐敗しているものやアルコール以外)なんでも食べるようにとおっしゃったとか。

基本的になんでもOKですが、五葷(ごくん:ニンニク、 ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキ)を嫌う人たちが存在します。

仏教徒は0.8%で、およそ800から900万人くらいだそうです。

ジャイナ教

食べられないものが多い宗教で有名なジャイナ教。不殺生がモットーの宗教です。

インドでは0.4%で420万人ほどと言われています。西インドのグジャラート州に多くのジャイナ教徒がいらっしゃるそうで、グジャラートは菜食が多いようですね。

食べてはいけないもの 肉、魚、卵。土の中に出来る野菜。雨季は葉物野菜。

※土の中の生き物や葉についた生き物を殺してはいけないため

まとめ

今回のその5では、インドで信仰されている宗教において信者数の多い割合から特徴を書いてみました。いかがでしたでしょうか?中には聞きなれない宗教もあったかもしれませんね。

まだ他にも、パールシーと呼ばれるゾロアスター教徒やユダヤ教徒、その他の宗教を信仰する方がいらっしゃいますが、詳細はこちらまでとしたいと思います。

※今回の記事は2000年ごろのデータを元に書いております。2021年の今とは数が違うこともあるかと思いますが、ご了承ください。

編集後記

今回のシリーズも残すところあと一つとなりました。私にしては順調かしら?とほくそ笑んでおります(笑)

大学に入学してインドのことを学ぶまでは、高校世界史でちらっと触れた宗教の歴史と3大宗教以外のことは、あまり知りませんでした。

宗教関係の本を読んだときに、「腹が減った=食べられるものを食べる」というのが動物だとしたら、頭の中でこれはダメあれはダメという括りを作っているのは人間だけだ。という文を何かの本で読んだことがあります。

アレルギー体質とかそういうものではなく、信仰や主義によって食べるものを自らに限定するということは、人間が人間たる所以でもあるのでしょうね。

さて、インドを旅行していた時にかならず受けた質問に「What is your religion ? あんたの宗教何?」というのがありました。当時読んだ地球の歩き方には「無宗教というのは理解されません。日本人なら仏教徒と言っておくのが良いでしょう。」というのがあったような気がします。

「実際、仏教徒と言えば仏教徒だしなぁ」と、答えはいつも「I am Buddhist」でした。そうすると「ふーん」みたいなリアクションが返ってきてましたね。

何かを信仰しているというのは大前提なんですよね。宗教を信仰していないという考えは通じません。

そう考えると、結婚式は教会や神社、お葬式はお寺で、面白いと思えばクリスマスからイースター、ハロウィンで騒ぎ、商業ベースの思うつぼの私たちはなんて無節操なんでしょうか?

信仰とは、神という存在を通して自分と向き合う大切なものではないか?と思っているので、どの宗教であろうと信仰を持つということには大きな意味があると感じています。

去年から上座部仏教についての本をかなり読んでいますが、同じ仏教とはいえ日本の仏教とは違うことがたくさんあります。

仏教に限らずどの宗教も根本的には、みんな仲よく幸せに暮らしましょう。そのために自らを省みつつ人生を歩みましょう。という教えが原点だと思うんですよね。

それが、時代を追うごとに捉え方が変わり、解釈の仕方などで時の権力者に利用されてしまった歴史につながったような気もしなくもありません。

人が何かを信じるということ、そして信念という言葉が表すようにそこに気持ちや思いが入ってくると、とても強固なものになります。今回の記事を書くにあたり「宗教とは?」と向き合う機会となり、改めて正しい方向へと信念を持ちたいものだな、と感じました。

ところで、海外旅行でインドだけでなくあちこちを巡り、いろいろな寺院に行きました。けれど、ヒンドゥー教のお寺は他宗教の人は入ることすら許されないところが多くて、結局どこか見たっていう思い出は残ってません。遺跡は見たんですけどね。

ガンジス川のほとりで有名なヴァナラシでも、塀だか門だかの前まで行ってダメで「なーんだ見せてくれないんだ。せっかく来たのにケチ!」と思った覚えがあります(笑)

今考えると、何も知らないおバカさんですよね~

次回はシリーズ最後のその6で番外編です。インドと日本の調理の仕方における大きな違いについてです。

お楽しみに♪

続きはこちら インドの食文化のこと6

Please Share
Share

お気軽にお問合せ下さい

各種メニューの詳しい内容を丁寧に説明させて頂いてます。どんな事でもお気軽にお問合せ下さい。