古今東西の叡智を活かす
今とくらべものにならないほど医学が未熟だった時代に、健康を求める古今東西の叡智の結晶として生まれたのが、今から約4000年前のアーユルヴェーダ、約2500年前の中医学、そして、日本にもある食養生や地産地消の知恵です。
長い歴史の中で培われて来たこうした知恵と経験は、20世紀になってからここ100年で作られた現代のものよりも、信憑性が高く信頼出来るのではないでしょうか?
なぜなら、先人たちのいわば身体を張った実験の歴史から、安全である効果がある、と証明されて来たものだからです。
自分たちの気候や風土、食文化にアレンジして活用する
もちろん、その土地その土地の気候や風土、文化の違いにより、活用の仕方や使い方は違ってきます。
ですので、それぞれの地での取り入れ方をそのまま真似るのではなく、自分たちが住む地域や民族性、食生活に合った方法で取り入れて行けば、食べやすく手軽でより効果的な予防医学になるのではないか?と考えます。
現地の味も素晴らしいのですが、そういう本場の味は現地の方がお作りになるレストランで召し上がるのが一番だと思いますし、毎日食べるのではなく、たまに食べるからこそ美味しいと思うんです。
なぜなら、旅行中には、現地の味そのままのお料理を日々食べ続け、胃腸が悲鳴を上げるか、和食が恋しくなって食べたくなくなってしまった言う経験があるからです。日本で食べる食事は、本当に美味しいです。それに比べて、海外の食事は割と味が単調な気がします。ですので、飽きて食べたくなくなるか、シンプルなご飯にお味噌汁に梅干しが恋しくなるか、胃腸が悲鳴を上げてしまう、のどれかでした。
国や地域にもよりますが、和食と比べて使う油の量が相対的に多かったり、食べなれないマトンなどの食材や強すぎる香辛料に、鼻や身体が拒否反応を示すようになる。そんなことも多々ありました。
中近東で毎日マトンを食べていたら、いつの間にか自分がマトン臭くなってきたという笑えないエピソードもあります。
素晴らしい和の知恵を活かす
ハーブ、スパイスというとどうしても外国のものをイメージしがちですが、日本にもちゃんと古来から受け継がれた来た食文化の中にどちらも存在しています。
青紫蘇、赤紫蘇、しょうが、みょうがを始めたとした、いわゆる「薬味」と呼ばれる食品たち。七味や一味唐辛子、山椒、胡麻、けしのみ、わさび、ウコン、ゆず、かぼす、すだちなどもそうです。それに、味噌、醤油、甘酒などの発酵食品。
お刺身にかぼすを絞るのも、さんまのたたきにねぎや茗荷なんかを混ぜるのも、全部食べた時食べてからの身体への影響を考えて構成されています。
そうしたものの背景には、単にそうした方が美味しいからだけでなく、先人たちから受け継がれた未病を防ぎ健康に暮らす知恵が詰め込まれていました。
食べることが養生になる
スパイスというとどうしてもカレーを思い出し勝ちですが、こういう思いから、和洋中印などのスパイスや発酵食品、伝統的な調味料を取り入れたり使ったりして作る普通のおかずをとても大切にしています。
ですので、spice cafe atruccoでは、なるべく「毎日食べられる」「食べても胃腸に負担がない」ということを意識しています。
たとえ毎日食べないにせよ、食べるたびにお腹が重かったり、便秘になってしまったり、翌日むかむかしたりしてしまったら本末転倒です。そういう食事が積み重なると、いずれ大きな病気として現れる可能性が高まってしまいます。
そうならないためにも、味覚だけでなく身体の感覚としてポジティブな感じ「美味しい」「食べて心地よい」を持つことが大切。
身体は消耗品です。日々劣化していくだけです。そう感じる食事をすることで、この古今東西の貴重な知恵を日々の食事に取り入れながら、少しでも老化という劣化を遅らせることが出来るのではないでしょうか?
その結果、心と身体が健やかでいられる毎日や人生を送れるようになる。
それこそまさに、医食同源という考え方の「食べることが養生になる」いや、「食べることを養生にする」ことの本意だと考えます。