日本人がスパイスカレーを美味しく作れないワケ5 今度こそスパイスのこと

前回の記事はこちら 日本人がスパイスカレーを美味しく作れないワケ4

前回の4の記事では、日本の香辛料、スパイスなどについて考えてみました。続きの5では、提議したポイントのうちの一つ目「そもそもスパイス自体についての知識がない」を書きたいと思います。

今回は長いですよ~覚悟してお読みください(笑)

スパイスはおいしいものではない

歴史のお話の後は、スパイスそのものについて話していきましょう。

結論としては、スパイスはルゥのように味が付いているものではなく、ルゥのそのままの代わりにはなりえない。ということです。

日本人は、お味噌汁のように出汁を取った液体に個体(お味噌のように味があるペースト)や液体(お醤油、みりん、お酒など)を溶かす料理を得意としています。

その習慣でスパイスを考えてしまうのが大きな間違いポイントだと、その1で書きました。そのことにスパイスの特性を含めた上で掘り下げていきましょう。

まず、それ自体の味についてです。

ルゥに対してスパイスには、特に塩味やうま味が付いているわけではありません。

その2でルゥのパッケージを見ていただいたように、いわゆるうま味となるものや油分、糖分などの含有量は、含まれているものがあるとしても、ルゥとは比較にならないくらい少量です。

脳が美味しいと感じる物質に、糖分と油分があげられますが、それがうま~く配合されているルゥと違い、そんなものはほとんど入っていないのがスパイスです。ルゥの代わりにして美味しいわけがありませんよね。

そして舐めたことのある方はお分かりだと思いますが、大体苦い味がします。そして、独特の匂いがあります。ばりばり食べるようなものではないことは、お分かりいただけると思います。

なので当然、ほとんど味付けしていないお湯に溶かしても、ルーのように何となく味があるスープのようなものになるワケではなく、ただの苦いお湯になるだけだったりします。

重複になりますが、ここが第一のポイントです。スパイス自体はシンプルな味しかしない。

つまり、複合的に味が付いた日本のルゥで作るカレーライスの概念から完全に頭を切り離して考え作らないと、美味しく出来ないのがスパイスカレーということです。

その土地の料理に欠かせないということは?

さらに付け加えることとして、料理に使われるものとしての意味がスパイスとルゥでは大きく違うということがあります。

食材に合わせて、地域に合わせて使うスパイスや油も変わってきます。カレーというとインドのイメージを私たち日本人は持ちますが、似たような煮込み料理は東南アジアから中近東、ユーラシア大陸内地など多くの地域でも食べられています。

そして、その土地その土地の食材とそれに合ったスパイスでその土地に合った料理や食べ方へと調理されています。その土地に合った美味しい煮込み料理を作る材料の一つとしての香辛料、スパイス。これが、第2のポイントです。

例えば、南インド料理でよく使われるカレーリーフは、北の方へ行くとベイリーフへと変わっていきます。途中両方使うような地域もあるようですが、植物の生育状況により使われるスパイス、香辛料は変化しています。

また、同じく南の方で使われる油としてはココナッツオイルが有名ですが、北の方へ行くとそれがギーだったりマスタードオイルだったりに変わります。同じく生育状況や栽培状況に左右されて行きます。

こう考えるととても面白いですし、遠く離れた日本で南も北も関係なくそれらが入手できることはとてもありがたいことだと感じます。

さて、ルゥはどうでしょうか??

メーカーさんの販売図による頒布の違いはあるにせよ、ここまで厳密にはありませんよね。だからこそ、いつでもどこでも誰でも美味しく感じるように作れるすごい料理でもあると思います。いや、別の見方をすると、温帯が大部分を占める日本において、どこでも誰でも美味しく作れる代表としてのカレーライスと、見ることもできる気がします。

薬として活用されて来た歴史を持つスパイス

また、スパイスには漢方薬として古くから活用されて来たものも多く、長い歴史背景を持っています。現在の科学的に合成された薬とは違い、自然の植物などが持つ成分を活用したものです。

植物は動けないがために、自分たちが枯れることなくそして子孫を残せるようにするための防衛手段の一つとして、個々に様々な成分を持っています。それを活用したものに、いわゆる漢方薬と私たち日本人が読んでいるものがあります。ちなみに中国語では当然「漢方薬」とは言いません。中药(zhong yao)で、そのまま「中国の薬」です。

ここで、漢方の話やスパイス個々の効能などについて書きだしたら大きく方向がずれてしまって、またいつものように、いつまでたっても結論へとたどり着かなくなっちゃうので、それはまたの機会にしておきます(;^_^A

スパイスは、暑い気候の地域で採れることが多く、その土地の料理に使うことにより、腐敗や食中毒などから料理とそれを食べる人を守ってくれています。またその気候に耐えうる身体を作ってくれるそんな効果も期待できます。そのようにしてその土地土地で人間が生きていく知恵として、料理に配合されて行きました。ここが第3のポイントです。

それに対して、ルゥのパッケージの欄での香辛料の記載はどの程度だったか覚えていらっしゃいますか?かなり後ろの方だったかと思います。配合量の多い順に名称は記載されていますから、スパイスほど薬効を期待したものではないのではないか?というような気がします。

そう考えてみても、美味しい煮込み料理+異国風の香りを楽しむの一つの料理のジャンルとしてのカレーライスだと私は思うのです。

まとめ

スパイスをルゥと同じように扱っていけない理由。

  • スパイスの味自体はシンプルであり、ルゥのような「油分」「糖分」「うま味」は殆ど含まれていない。
  • スパイスには土地土地の食材と組み合わせることで、その土地の文化的背景をも包括しながら、そこで収穫された食材の持つ効能やおいしさを引き出し、その土地に合った文化、宗教、味覚に合った料理を構成させうる効果がある。
  • スパイスは漢方薬として使われて来たものも多く、薬効が期待される。単なるおいしさだけではない、健康に良い影響を及ぼすものとしての効果が期待できる。

今回はかなり長くなりましたが、いかがでしたでしょうか?

これまで、その1から続きで書いてきたことの趣旨は「ルゥの使い方とスパイスを一緒にしちゃいけませんよ」「こういう違いがありますよ。」ということでした。

スパイス自体はとても奥深く、書けば書くほどどれだけでも書きたくなるスパイスオタクな私なので、この辺りで本題に戻りたいと思います(笑)じゃないと収拾がつかなくなることは目に見えてますので・・・(苦笑)ということで、スパイス自体については、今後別記事としてアップしていきたいと考えています。

次回のその5では二つ目の定義の 「生産地でどのように使われて来たのか、その食文化についての知識がない。 」について書きたいと思います。

長くなって来たので、そろそろ終わらせます(笑) 最終章になるかな?どうぞお楽しみに♪